はじめに
タイトルの通り、今回は解析力学ネタです。あまりにネット上の情報がないので私が書きます。もしかしたら解析力学の専門書にはあるのかもしれないですが、私は生憎そういった本は持ち合わせませんし、普段そういった類の本は読まないので知りません。
備忘録です
目標
以下の円筒座標系の運動量:
\[p_r, p_\theta, p_z\]および、
\[p_r, p_\theta, p_\varphi\]を導出していきます。
円筒座標系の定義
この記事の読者ならご存じかと思いますが、一応。以下は円筒座標系の定義です。
\[x=r\cos{\theta}\] \[y=r\sin{\theta}\] \[z=z\]速度ベクトルのノルムを計算
円筒座標系の運動量は、ラグラジアンから求める必要があります。ラグラジアンの計算に当たって、運動エネルギーが必要となり、その計算には運動ベクトルのノルム(二乗)が必要になるので、まずはそれを求めていきましょう。これはそれほど難しいことではありません。
まず、上記の円筒座標の定義より、
\[\dot{x}=\dot{r}\cos{\theta}-r\sin{\theta} \dot{\theta} \] \[\dot{y}=\dot{r}\sin{\theta}+r\cos{\theta} \dot{\theta} \] \[\dot{z}=\dot{z}\]なので、いま求めたい運動ベクトルのノルムは、
\[v^2=\dot{x}^2+\dot{y}^2+\dot{z}^2 =\dot{r}^2+r^2\dot{\theta}^2+\dot{z}^2\]となります。これは単なる代入計算です。
ラグランジアンと一般化運動量
続いて、求めた運動ベクトルのノルムからラグラジアンを求めていきます。一般に、ラグラジアンは以下の形式で書くことができたのでした:
\[L=T-V \]ただし、Lはラグラジアン、Tは運動エネルギー、Vはポテンシャルです。
いま、運動エネルギー:
\[T=\frac{1}{2}mv^2 \]より、ラグラジアンは、
\[L=\frac{1}{2}m(\dot{r}^2+r^2\dot{\theta}^2+z^2)-V(r,\theta,z) \]と求まります。
一般化運動量
最後に、一般化運動量を用いて円筒座標系の運動量を求めていきます。一般に、一般化運動量は以下の式で表すことができたのでした:
\[p_q=\frac{\partial L}{\partial \dot{q}} \]これを用いて、
\[p_r=\frac{\partial L}{\partial \dot{r}}=m\dot{r} \] \[p_\theta=\frac{\partial L}{\partial \dot{\theta}}=mr^2\dot{\theta} \] \[p_z=\frac{\partial L}{\partial \dot{z}}=m\dot{z} \]のように円柱座標系の運動量を求めることができます。
球座標系の運動量
球座標の場合も、先ほどの円筒座標系の場合と同様です。まずは球座標の定義を確認しましょう:
\[x=r\sin{\theta}\cos{\varphi}\] \[y=r\sin{\theta}\sin{\varphi}\] \[z=r\cos{\theta}\]これを用いて運動ベクトルのノルムを求めると、以下:
\[ v^2=\dot{r}^2+r^2\dot{\theta}^2+r^2\sin^2{\theta}\dot{\varphi}^2 \]したがって、ラグラジアンは、以下のようになります:
\[L=T-V=\frac{1}{2}m(\dot{r}^2+r^2\dot{\theta}^2+r^2\sin^2{\theta}\dot{\varphi}^2)-V(r,\theta,\varphi) \]これを用いることで、
\[p_r=\frac{\partial L}{\partial \dot{r}}=m\dot{r}\] \[p_\theta=\frac{\partial L}{\partial \dot{\theta}}=mr^2\dot{\theta}\] \[p_\varphi=\frac{\partial L}{\partial \dot{\varphi}}=mr^2\sin^2{\theta}\dot{\varphi}\]と求めることができます。