【マイクラ】Create Modにおける「直感」という欺瞞──なぜ「勘で分かった」は信用に値しないのか


MekanismやCreateをはじめとする工業化Modにおいて、時折耳にする言葉がある。「風車や水車が動力源であることは勘で分かった」「ミキサーの使い方は直感で理解できた」という主張だ。

もしこれらが真実であるならば、その「勘」を裏付けるだけの根拠──すなわち、ゲーム内テキストによる明示や、UI上の明確なアフォーダンス──が存在しているはずである。しかしながら、客観的な事実として、Create Modにはそれらが欠落している。

ゲーム内の自然な文脈には一切書かれていない」という事実を無視し、結果論としての成功体験を「勘」と呼ぶことの危うさについて、本稿では論理的に解剖していく。

1. 「Minecraftの文脈」から逸脱する異質な仕様

まず前提として、Minecraftというゲームには長年培われてきた「文法」が存在する。私の──そして多くのプレイヤーの──論理的な「勘」に基づけば、以下の挙動こそが自然である。

  • GUIの操作: 機械を右クリックすればUIが開き、スロットにアイテムを投入する。
  • 動力の概念: 動力源はレッドストーン信号、あるいはケーブルを伝わる抽象的なエネルギーである。
  • 技術ツリー: 上位素材(真鍮など)は、作業台や下位の機械を用いてクラフト可能である。

これらはバニラ環境から主要な工業Modに至るまで統一された「常識」である。対してCreateが要求するのは、このパターン認識を裏切る「例外的な仕様」の連続だ。これを「勘」で看破したという主張には、以下の3点において重大な論理的瑕疵がある。

① 「UIを開かず投げ入れる」という非合理性

Createのミキサーなどに見られる「ワールド空間に直接アイテムを投擲する」という仕様は、MinecraftのUI/UXデザインにおけるデファクトスタンダードに対する挑戦、あるいは無視である。

通常、アイテムを放り投げる行為は「廃棄(ゴミ捨て)」や「デスポーン」のリスクと隣り合わせであり、プレイヤー心理として忌避されるべき行動だ。「右クリックでGUIが開かないなら、アイテムを投げ込めばいい」という発想に至る導線は、ゲーム内の自然な文脈には存在しない。

② 「動力=回転力」という物理法則の誤謬

Minecraftにおけるエネルギーは「見えない線」を伝わる数値データであり、物理的な接触は不要とされるのが「ゲーム内物理」である。

そこに「現実世界の物理法則」を持ち込み、「歯車や軸が物理的に繋がっていなければならない」とするCreateの設計は、ゲーム内世界における「異物」に他ならない。既にレッドストーンという確立された伝達手段がある以上、わざわざ物理回転を選択肢に含める論理的必然性はなく、これをノーヒントで選択するのは推論ではなく当てずっぽうに近い。

③ 「真鍮を作るための真鍮」──循環参照のパラドックス

技術ツリーは通常、単純なものから複雑なものへと流れる非循環有向グラフであるべきだ。しかしCreateでは、真鍮を作るためのミキサーを稼働させるために、特殊な工程(鉢への投げ込みや加熱)が必要となる。

これは作業台のレシピブックという視覚的ヒントを持たない、いわば「隠しレシピ」である。全探索(ブルートフォース)を行わない限り、この正解に辿り着くことは理論上不可能である。

2. 「JEIを見れば分かる」という反論の脆弱性

ここで予想される反論として、「JEI(レシピ閲覧Mod)を見れば分かるではないか」というものがある。確かにJEIはアイテムの変換式を提示するが、Createに関しては決定的な情報が欠落している。

JEIの通常のレシピ画面には、「操作方法(How)」も「動力形式(Source)」も「燃料の定義(Definition)」も書かれていないのだ。

  • ミキサーへの投入方法: 「アイテムを投げる(Drop)」という指示はどこにも文字化・記号化されていない。通常のModであればインベントリGUIが表示される箇所に何もないため、初見では「GUIの開き方が分からない」と困惑するのが正常な反応である。
  • 動力源の特定: 必要要件として「RPM」等の記述はあるが、それが「物理的な回転」であることを説明するテキストはない。そこから逆引きして「水車が必要だ」と特定するパスは、レシピ画面上には存在しない。
  • ブレイズバーナーの仕様: 「加熱が必要」というアイコンはあっても、その燃料がかまど用の燃料(石炭など)である点や、ブレイズに対してアイテムを持って右クリックするという給餌アクションは読み取れない。

JEIを見て分かるのは「何が必要で何ができるか」だけであり、「どうやって動かすか」を知るには、JEIを経由して起動する『Ponder(3D説明書)』を見る必要がある。つまり、正解に辿り着いた要因は「勘」でも「レシピ確認」でもなく、単に「マニュアルを読んだ」という事実に過ぎない。

3. 「マニュアル(Ponder)」への導線欠如とユーザビリティの敗北

「マニュアルがあるなら、それを読めば解決する。」そう考える向きもあるだろう。しかし、Createにおけるマニュアルへのアクセス権は、極めて不親切な設計によって隠蔽されている。

最大の問題は、マニュアルを開くキーが「Wキー(長押し)」に割り当てられている点だ。

FPS視点のゲームにおいて、Wキーは「前進」という最も基本的かつ頻繁な動作を司る聖域である。ここに「説明画面を開く」という全く別の機能を割り当てることは、UIデザインのセオリーを無視した悪手である。「動こうとしてWを押す」ことと「読むためにWを押す」ことの認知的不協和により、プレイヤーがこの機能に気づく機会は著しく損なわれる。

「アイテムのツールチップに『Hold [w] to Ponder』と書いてあるから、読まないのが悪い」という主張は、「情報は提示しさえすれば伝わる」という設計側の傲慢に他ならない。

人間は画面上の全情報を均等にスキャンするわけではなく、重要度が低いと判断したテキスト(特にツールチップ下部の補足情報)は無意識にフィルタリングする。マニュアルという重要機能への導線を、目立たないテキストのみに依存させ、「隠し機能」同然の状態に置くことは、デザインの敗北である。「隠されたマニュアル」を根拠に「仕様は明示されている」と強弁することは、論理的に不誠実と言わざるを得ない。

4. 視覚的アフォーダンスの幻想

最後に、「歯車が回る様子を見れば、直感的に仕組みは分かるはずだ」という意見について触れる。これもまた、生存バイアスによる過大評価である。

回転する歯車を見て、それが「単なる環境演出(アニメーション)」なのか、システム的に意味を持つ「エネルギー伝達媒体」なのかを、外部情報なしに判別することは困難だ。Minecraftのバニラ環境にも、動きはするが動力を持たないブロック(ドアやトラップドアなど)はごまんと存在する。

加えて、「直感的に理解できる」とは、試行錯誤なしに正しい操作ができる状態を指す。視覚情報(回転)だけでは、「ミキサー稼働に必要な最低RPM」や「過負荷(Overstress)による停止条件」といった定量的情報は一切伝わってこない。

結論

以上のことから、Create Modの仕様を「勘で理解できた」とする主張は、以下のいずれかに分類される。

  1. 既存の学習モデルを無視したランダムな行動が、たまたま正解した(生存者バイアス)。
  2. PonderやWikiといった外部情報を参照した記憶を、自らの直感と誤認している。

Create Modは、Minecraftの文脈から逸脱した独自の論理体系を持っており、その学習コストを「直感」という言葉で隠蔽することは不可能である。我々はその特異性を認め、安易な「直感論」に惑わされることなく、適切な情報収集(=検索)こそが唯一の解であると認識すべきである。

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